ロードバイクにおけるFTPは、自分の走力や持久力を数値で把握できる重要な指標です。
ロードバイでFTPの目安が気になる方の多くは、自分に合った数値の目安や、その評価方法を知りたいと考えているのではないでしょうか。
特にロードバイクを始めたばかりの初心者にとっては、自分のFTPがどの程度なのか、どのように計測すればいいのかが気になるポイントです。
この記事では、年齢によるFTPの違いや、FTPを計算する正しい方法、効果的なトレーニングへの活用法などを詳しく解説します。
ポイント
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FTPの基本的な意味と重要性を理解できる
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自分の年齢やレベルに合ったFTPの目安を知ることができる
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FTPの正しい測定方法や計算手順を把握できる
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トレーニングへの具体的な活用方法が分かる
目次
ロードバイクでFTPの目安の基準と考え方
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FTPとは何か?ロードバイクでの意味
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FTPの計測方法と測り方のコツ
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ロードバイク FTPの正しい計算方法
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ロードバイク初心者のFTPの目安は?
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年齢別に見るロードバイク FTPの目安
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FTP200wはどれくらいのレベルか?
FTPとは何か?
FTPとは「Functional Threshold Power(機能的作業閾値)」の略で、1時間持続できる最大の平均出力(パワー)を示す指標です。パワーメーターを用いたロードバイクのトレーニングにおいて、非常に重要な役割を果たします。
単に数値を見るだけでなく、自分の走力を客観的に把握し、今後のトレーニングやレース戦略に役立てるために使われています。
FTPは、心拍数やスピードと違って、地形や風などの外的要因に左右されにくいという特徴があります。
例えば、平地ではスピードが出やすいですが、登り坂では同じパワーを出していてもスピードは落ちます。
しかしFTPは、「どれだけの力を出しているか」を直接示すため、環境に依存せずに正確なトレーニング指標となるのです。
FTPの数値が高いほど、長時間にわたり高出力を維持できる体力があるということになります。
これはロードバイクの競技において、登坂力やタイムトライアルの強さに直結します。
そのため、多くのサイクリストは定期的にFTPを測定し、トレーニング成果の指標にしています。
一方で、FTPの値だけがすべてではありません。短時間の高出力が求められるスプリントでは、FTPの影響は限定的です。
また、1時間という長時間の継続出力を測るため、筋力と同時に持久力やメンタルの強さも問われる点も忘れてはなりません。
このように、FTPはロードバイクにおける「戦闘力」とも言える数値であり、トレーニングの基礎を築くためには欠かせない概念です。
初心者から上級者まで、自分の現状と目標を明確にするためにも、ぜひ知っておくべき指標といえるでしょう。
FTPの計測方法と測り方のコツ
FTPを正確に把握するためには、計測方法に沿って適切にテストを行う必要があります。
一般的な方法としてよく知られているのが「20分間テスト」です。
この方法では、20分間の全力走を行い、その平均パワーに0.95を掛けてFTPを算出します。
実際に1時間の全力走を行うよりも現実的で、多くのサイクリストに支持されています。
このテストを行う際は、事前のウォーミングアップが極めて重要です。いきなり20分間もがくのではなく、最低でも15〜20分ほど身体を温めてから行いましょう。
5分程度の高強度走をウォームアップに取り入れると、心拍や筋肉の準備が整いやすくなります。
測定中の注意点としては、最初から全開で走らないことが挙げられます。
前半で飛ばしすぎると、後半に著しく出力が落ちてしまい、正確なFTPが算出できません。
一定ペースで走ることを意識し、ラスト数分で少しずつペースを上げていくのが理想的です。
一方で、計測に慣れていない人にとっては、20分間の全力走は非常に辛く感じられるかもしれません。
このような場合、ZWIFTのようなオンラインバーチャルライドアプリを利用すると、画面の指示に従ってペース配分がしやすく、集中力も保ちやすくなります。
また、パワーメーターやスマートトレーナーを使用すれば、FTPの自動検出や記録管理も可能です。
これにより、過去の自分と比較することが簡単になり、モチベーション維持にもつながります。
ただし、測定は1回限りで終わりではありません。トレーニングを継続する中で、定期的にFTPテストを行い、変化を確認することが大切です。通常は4〜6週間ごとのテストが推奨されています。
FTPの正しい計算方法
FTPの正しい計算には、「テスト方法の選択」と「数値の算出方法」の2点がポイントになります。
まず前提として、FTPとは1時間出力し続けられる限界の平均パワー(ワット)であるため、20分間の全力走の数値をもとにするのが一般的です。
このとき重要なのが、「20分間の平均パワーに0.95を掛ける」という計算式です。
例えば、20分間の平均出力が220Wだった場合、220 × 0.95 = 209WがFTPということになります。
なぜ0.95を掛けるのかというと、20分という短時間では無酸素的な要素も含まれやすく、実際の1時間平均より高く出てしまう傾向があるからです。
もう一つの方法としては「Ramp Test(ランプテスト)」があります。
これは1分ごとに出力が徐々に上がっていき、自分が維持できなくなるまで漕ぎ続けるというテスト方法です。
ランプテストの場合、最後に維持できたワット数に0.75を掛けてFTPを推定します。
体力の限界が明確に表れやすい点が特徴で、ZWIFTなどでは自動で計算されるため手軽に行えます。
これらのテストで得たFTPをもとに、パワートレーニングのゾーン分けが可能になります。
具体的には、FTPの50〜60%が回復走、85〜95%がテンポ走、105〜120%が無酸素域というように、トレーニング強度の基準が定まるのです。
ただし、ここで気をつけたいのは「正確な平均パワーを算出するための環境整備」です。
屋外でテストをする場合は信号や交通状況に左右されやすく、安定した出力が出しにくいことがあります。
屋内ローラー台を使えば、より正確なデータが得られるでしょう。
ロードバイク初心者のFTPの目安は?
ロードバイク初心者にとって、FTPはやや専門的な指標に感じるかもしれませんが、これを理解することで、自分の現在のレベルを知ることができ、トレーニングにも明確な方向性が生まれます。
では、初心者にとってFTPはどれくらいが「標準」なのでしょうか。
まず、一般的に未経験からロードバイクを始めたばかりの人であれば、FTPは100W〜160W前後であることが多いです。
特に日常的に運動習慣がなかった場合、この範囲に収まるケースが多く見られます。
体重や年齢にも左右されますが、「1時間にどれだけのパワーで漕ぎ続けられるか」という観点で考えると、このあたりが現実的な数値と言えるでしょう。
また、初心者の場合にはFTPそのものの数値よりも「パワーウェイトレシオ(PWR)」という、体重1kgあたりに出せるワット数での評価も参考になります。
体重60kgでFTPが120Wであれば、PWRは2.0W/kgとなります。このPWRが2.0〜2.5W/kgであれば、初心者としては十分なレベルとされています。
ただ、初めから高い数値を目指す必要はありません。
むしろ、最初は「自分のベースラインを知る」ことが最も重要です。
その数値を出発点として、無理なくトレーニングを重ねることで、数ヶ月後には確実に向上が見込めます。
実際、週に3〜4回、1〜2時間のトレーニングを継続するだけでも、2〜3ヶ月でFTPが20W以上伸びる例は珍しくありません。
まずは、FTP測定を通じて現在地を確認し、そこからの伸びを楽しむ。
これこそがロードバイクを長く楽しく続けるための第一歩になるはずです。
年齢別に見るFTPの目安
FTPはトレーニングの成果を示す重要な指標ですが、年齢によっても平均的な数値や成長のペースには差があります。
年齢層 | 性別 | FTP目安(W) | PWR目安(W/kg) | 特徴・備考 |
---|---|---|---|---|
20代〜30代前半 | 男性 | 160〜220 | 2.7〜3.6 | 筋力・持久力の伸びしろが大きく、短期間で成長可能 |
30代後半〜40代 | 男性 | 150〜200 | 〜3.0 | 効率的なトレーニングで高パフォーマンス維持が可能 |
50代〜60代以降 | 男性 | 120〜180 | 2.0〜2.8 | 体力維持と回復力を意識したトレーニングが重要 |
20代〜30代 | 女性 | 110〜160 | 2.0〜3.0 | 体格差を考慮した適正範囲。男女での差は筋量による |
40代以降 | 女性 | 100〜140 | 1.8〜2.5 | 数値よりも健康維持と持続的な走力に注力 |
FTP200wはどれくらいのレベルか?
FTPが200Wに達した場合、それは一つの節目とも言えるレベルです。
では、この200Wという数値はどれほどの実力を示しているのでしょうか。
単純なワット数だけでは評価しづらいため、「パワーウェイトレシオ(PWR)」と合わせて判断することが必要です。
例えば体重が70kgのサイクリストであれば、200 ÷ 70 = 約2.86W/kgとなり、これは「中級者の入り口」と言われるラインに近づいています。
体重が軽い人、例えば60kgであれば、PWRは3.33W/kgとなり、ヒルクライムでもある程度戦えるレベルに達していると考えられます。
このPWR 3.0W/kg〜3.5W/kgというゾーンは、多くのアマチュアライダーが目指す「並〜優秀」の中間ラインに位置しており、実走ではロングライドでのペース維持や、緩い登り坂での安定した走行が可能になります。
また、ヒルクライムレースであれば、完走だけでなく、ブロンズクラス(例えば富士ヒル90分切り)も視野に入ってくる数値です。
一方で、FTP200Wという数値はあくまでも「1時間の最大持続出力」です。
平地巡行で常時200Wを出すということではありません。
実際のライドでは上り坂や強い向かい風の時に200Wが必要になる場面はありますが、ずっとその出力で走るわけではないため、「常に200Wで走る」必要はないことを理解しておくと安心です。
ロードバイクでFTPの目安とトレーニング活用法
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FTPを使ったロードバイクトレーニング法
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パワーウェイトレシオ目安と活用のポイント
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ロードバイク PWR目安で見る走力の違い
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プロ選手のFTPと一般との違い
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ロードバイクでFTPの目安の基準と活用ポイントまとめ
FTPを使ったロードバイクトレーニング法
FTPをトレーニングに取り入れると、自分の限界を数値で把握しながら、より効率的な成長が可能になります。
ロードバイクにおけるトレーニングは「長く・速く・安定して走る」ために行うものですが、その中でFTPは指標として非常に役立ちます。
まず、FTPを用いたトレーニングの基本は「トレーニングゾーン」の設定です。
FTP値をもとに、トレーニング強度を1〜7のゾーンに分けることで、日々のメニューを計画的に組み立てることができます。
例えば、ゾーン2は「脂肪燃焼や持久力向上」を目的とし、FTPの55〜75%の強度で行う低〜中強度の走行です。
長時間乗る練習に向いており、初心者でも取り組みやすい内容です。
一方、FTPの90〜105%にあたるゾーン4では「乳酸耐性の向上」や「レースペースでの持久力強化」を目的としたトレーニングを行います。
このゾーンの練習はきついですが、FTPそのものの向上につながるため、週に1~2回取り入れることで大きな成果が期待できます。
これらのゾーンを活用した定番メニューの一つに「SST(スイートスポット・トレーニング)」があります。
SSTはFTPの88〜94%程度の負荷で20〜30分走行する練習で、心肺機能と筋持久力の両方を効率よく鍛えることができます。
特に時間に制限のあるライダーにはおすすめのメニューです。
ただし、FTPを使ったトレーニングは万能ではありません。
高い負荷をかけ続けると疲労が溜まりやすくなり、ケガやオーバートレーニングにつながるリスクもあります。
そのため、適切な休息日や、回復を目的とした「ゾーン1」の軽めのライドを組み合わせることが重要です。
パワーウェイトレシオ目安と活用のポイント
パワーウェイトレシオ(PWR)とは、体重1kgあたりにどれだけのパワー(W)を出せるかを示す数値で、ロードバイクにおいて走力を判断する重要な指標です。
PWRが高いほど、特に登坂でのパフォーマンスが良くなります。
なぜなら、登り坂では「出力(パワー)」と「重さ(体重)」のバランスがスピードに直結するからです。
PWR(W/kg) | レベル分類 | 実力の目安・特徴 |
---|---|---|
~2.0 | 初心者 | 脚力に自信がない・登坂で失速しやすい |
2.1〜2.4 | 初級者 | 平地巡航はOKだが登坂が課題 |
2.5〜3.2 | 中級者 | ロングライドやヒルクライム完走レベル |
3.3〜4.0 | 上級者 | ヒルクライムで上位狙える・脚力安定 |
4.1〜5.0 | 上級者+ | 国内上位アマチュア〜セミプロ相当 |
5.1以上 | プロレベル | 海外プロ水準、レース競技者向き |
このように、PWRは「体格に依存しない実力の基準」として活用されます。
同じFTP200Wでも、体重60kgの人は3.3W/kg、80kgの人では2.5W/kgと評価が変わります。
したがって、自分のFTPを評価する際にはPWRを併せて確認することが必要です。
PWRの活用方法として最も実践的なのは、「ヒルクライムのペース配分」です。
例えば、目標とするコースの平均勾配や距離から必要なPWRを逆算すれば、自分のFTPや体重をどれだけ改善すれば目標達成できるかが明確になります。
ただし、数値ばかりにこだわると、減量のしすぎによって健康を害したり、パワーそのものが落ちてしまうリスクもあります。
PWRを上げるには、無理なダイエットではなく、筋力を保ちながら無駄な脂肪を落とす「ボディバランス」の最適化が鍵です。
PWRの目安で見る走力の違い
ロードバイクの世界では、パワーウェイトレシオ(PWR)によって走力の「質」を見極めることができます。
PWRはFTPを体重で割った値であり、絶対的な出力ではなく「体格を考慮した実力」を反映してくれるため、特にヒルクライムなど登坂が多いコースでは信頼できる指標となります。
たとえば、PWRが2.0W/kg以下の人は、まだ脚力的には初心者とされ、登りで大きく失速しやすい傾向があります。
平地でも集団の後ろについていなければ、長時間の巡航は難しく、体力的な消耗も大きくなりがちです。
一方で、PWRが2.5〜3.2W/kgに達してくると、安定した走りが可能になり、週末のロングライドやヒルクライムイベントで完走する実力が見えてきます。
このレベルでは「自分の走力をある程度コントロールできる」と感じられるようになり、トレーニングによる成果も数字に現れてきます。
PWRが3.3〜4.0W/kgの領域に入ると、上位のアマチュアライダーに位置づけられ、ヒルクライム大会でブロンズやシルバーを狙えるレベルです。
このクラスになると、トレーニング内容にも戦略性が求められ、インターバルトレーニングやレースペースでの持久走など、質の高いメニューが必要になります。
プロ選手のFTPと一般との違い

出典:JBCF(全日本実業団自転車競技連盟)
プロのロードバイク選手と一般サイクリストでは、FTPの数値に大きな差があります。
これは単にトレーニングの量や質の違いだけでなく、長年にわたる積み重ねと身体的な特性、さらには生活スタイルそのものが影響しています。
まずプロ選手のFTPは、一般的に400W以上に達することが多く、パワーウェイトレシオ(PWR)で見ると6W/kgを超えるケースも珍しくありません。
例えば、体重65kgでFTPが430Wであれば、PWRは6.6W/kgとなります。
これはトップレベルの山岳ステージで勝負できる領域です。
一方、一般のサイクリストでは、FTP200W〜250W程度が現実的な範囲となります。
体重が同じ65kgだとすると、PWRは3.1〜3.8W/kg程度になり、これは中級〜上級アマチュアレベルとされます。
この差はなぜ生まれるのでしょうか。
プロ選手は1日に数時間のトレーニングを行うのが日常であり、さらに食事、睡眠、リカバリーに至るまで徹底した管理のもとで生活しています。
また、ジュニア年代からの継続的なトレーニングにより、心肺機能や筋力、疲労回復力といった身体の適応も大きく進んでいます。
ロードバイクでFTPの目安の基準と活用ポイントまとめ
記事のポイントをまとめます。
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FTPは1時間維持できる平均出力で走力の基準となる
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地形や風の影響を受けにくく正確な指標として使える
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初心者のFTPは100〜160W程度が現実的な目安
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FTP200Wは中級レベルの指標でPWRと合わせて評価する
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測定には20分間全力走を使い平均出力×0.95で計算する
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ランプテストは出力が段階的に上がる方式で初心者にも向く
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FTPは定期的にテストし成長を数値で確認することが重要
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トレーニングゾーン設定で効果的なメニュー構成が可能
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SSTは効率よく心肺と筋持久力を鍛える定番メニュー
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年齢によってFTPの平均値や伸び方には違いがある
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20代男性のFTP目安は160〜220W、PWRで2.7〜3.6W/kg
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50代以降は筋力維持と回復力を重視し120〜180Wが目安
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女性は筋量の関係でFTPが男性より低めに出やすい
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PWRはFTPを体重で割った数値で登坂性能の指標となる
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PWRを上げるには筋力維持しながら体脂肪を減らすことが鍵